必要性とメリット
私たちが国産材利用にこだわっている理由は、日本の森を守るため必要なことだからです。日本は世界的に見ても森林率の高い森林国であるにも関わらず、安い海外の木材に押され、国産材の利用が進んでいません。国産木材を使うということに対してネガティブなイメージをもたれる方も多いかと思いますが、国産木材は使用しなければ環境悪化を招くことになります。現在、国産材の利用を促進する法律が施行され、国産材を使用した時にもらえる助成金メニューが増えるなど、国を挙げて国産材の利用を推進しています。
二酸化炭素を抑える
木は若い時に沢山二酸化炭素を吸収し光合成をして酸素を作り出します。しかし成長するにつれ二酸化炭素の吸収が減り、呼吸が増えていくので酸素を作る量が減り、逆に二酸化炭素の排出量が増えてきます。そのため一定の時期を迎えるとその木を使用し、また新しい木を植えていかなければ、温暖化の原因である二酸化炭素を減らすことにはならないのです。また、木材は家具などの製品になっている間は吸収した二酸化炭素を外に排出することなく溜めておきます。木の家を一軒作ると約11トンの二酸化炭素を溜めておくことができ、これは人間ひとりが30年間に排出する二酸化炭素量と同じになります。
森を守るために
二酸化炭素の排出を抑えること以外にも、国産材を利用しなければ環境悪化につながることがあります。どういうことかと言うと、それは山に水分を溜めておく力がなくなってしまい、大雨などで災害が起こりやすくなっているということです。これは間伐を行っていないために木が密集し、光が地面に届かないので下草が育たず、土がむき出しになってしまっているために起こります。現在日本の山にはこうした間伐されていない荒れた山が沢山あります。これは山にお金を掛けても販売する時の木材の値段が安すぎるために、搬出費用すら出ないこともあるので、手入れをすることもできずそのままにしていることが原因です。すでに手遅れに近い状況にあるので、早急に山にお金が戻るような仕組み作りをして環境悪化を止めなくてはなりません。採った木材を有効に利用し、経済の循環を取り戻すことが大切です。
国産材のご紹介 その1
シナノキ/科の木・級の木・榀の木
シナノキは色が白く他の樹種と比べて木目が穏やかです。
このシナの木を使った合板は加工性がとても良く、また狂いが少ないことから、精度が必要な抜型と呼ばれる型の材料に使用されることが多いです。皆さんが良く見かけるお菓子の箱や緩衝材として使用される発泡スチロールなどはこの型を使用して作られます。またこの合板は木口断面がきれいなので家具や棚、ロッカー用の材料としても使用されています。近年では道産材のシナの木は量が減ってきているので、ほとんどの合板はアメリカのバースウッドと呼ばれる木やロシアのシナの木を使ったものです。
樹皮はシナ皮と呼ばれ、繊維が強く、主にロープの材料として使われてきたことから、榀の木(シナノキ)という文字は、アイヌ語の「結ぶ」と言う意味の語源に由来していると言われています。人と人とを結ぶ、学校や交流センターなどに願いを込めて使用するのもいいかもしれませんね。
おもな用途:合板、木彫りの民芸品
花言葉:『情熱的な恋』『夫婦の愛』
国産材のご紹介 その2
シラカバ/白樺
白樺は北海道を代表する木で白い幹が特徴です。北欧では高級材として使用されることが多く、白樺を使った合板はスピーカーの材料や家具としても人気が高いです。またシナを使った合板と同じく木口断面がとてもきれいなので棚やロッカー、カウンターテーブルなどにも使用されることが多いです。シナ合板に比べると比重が大きいので少し重たいですが、強度がありますので図書館のロッカーなど通常よりも強度が必要な場所には最適です。
白樺の木は以前は割り箸や、アイスのスティックにも多く使われていたのですが、安い海外のものに代わられてしまい、現在ではほとんどが中国産のものになってしまっています。
この白樺の木は日本では「森のナース」とも呼ばれています。台風や山火事で荒れ地になったところから真っ先に芽をだし、森を再生させることからこのように呼ばれるようになりました。また白樺は上皇后美智子様の御印としても有名です。
おもな用途:合板、パルプ、割り箸、アイスのスティック
花言葉:『光と豊富』『あなたをお待ちします』『柔和』
国産材のご紹介 その3
メジロカバ(ウダイカンバ)
植物学的にはマカバの種類に入りますが、辺材(木材の周りの部分)の白い部分の割合が多いものをメジロカバと呼びます。白太、赤みの両方がきれいな色をしているので用途に応じて使い分けができます。また白樺よりも比重が大きいので少し重く、強度もあります。そのため学校の校舎や体育館の床材として利用されたり、ピアノの部材としても利用されています。
メジロカバの正式名称はウダイカンバといいます。樹皮に油分が多く含まれているのでよく燃えるため鵜飼いの時の松明(鵜松明)として使用されたことからウダイカンバと呼ばれました。
おもな用途:ピアノ用部材、壁材、床材、天井
国産材のご紹介 その4
イタヤカエデ/板屋楓
『イタヤカエデ』とはメープルの一種であり、イタヤカエデで作られた合板はとても響きがいいということで高級スピーカーの材料となったり、グランドゴルフのクラブの柄にも使用されています。但し少し反りが生じやすいという問題点もあります。
この木の樹液はメープルシロップのもとでもあります。カナダの国旗もこのカエデの仲間の木でシュガーメープルという木の葉ですし、アメリカではハードメープルと呼ばれてバットの材料にも使われています。バリーボンズ選手や松井秀樹選手が愛用していたバットはこのハードメープルを使用したと言われています。その語源には、雨が降ってもこの木の下にいれば葉が茂っていて雨に濡れないのでまるで板のついた屋根があるようだと言われその後『板屋』と呼ばれるようになりました。
おもな用途:バット、スピーカー、グランドゴルフの柄
花言葉:『節制』『遠慮』『自制』『大切な思い出』